NO.145
2019/07/11
  今年も、待ちに待った登山シーズンがやってきました。本格的な登山の第一弾として、八ヶ岳の最南端にある “権現岳(ごんげんだけ2715m)” に挑むことにしました。コースは、登山口の “観音平(1560m)” を出発し、“青年小屋” を経て “西ギボシ・東ギボシ” を越え、“権現岳” の頂へ、そして “三ツ頭(2580m)” を経て登山口に戻ります。歩行時間は9時間以上という超ロングコースに、みんな「楽しみだけど、最後まで歩き通せるかしら…」と、期待と少しの不安を胸に晴れる日を待っていました。
 6月26日、天気予報では絶好の登山日和、久しぶりの本格的な登山に、高まる気持ちを抑えて豊橋を出発しました。
 


     
   午前5時45分、豊かな緑に囲まれた駐車場 “観音平” に到着。緊張と期待がさらに高まってきました。まずは “青年小屋” を目指して、針葉樹林の中を元気に出発。登山道の両側には笹原が広がり、その中にポツンポツンと朱色のレンゲツツジの花が色を添えています。ミズナラやシラカバが立ち並び、自然のエネルギーを全身に浴びながら、緩やかな登山道を登っていきます。  
  1時間ほどで “雲海” に到着。その名の通り木々の間から雲海が見え、その上に富士山がくっきりと浮かんでいました。「こんなに奇麗な富士山が見えるなんて、ラッキー!」と、みんな大感激。さっそく富士山をバックに写真を撮りました。
  “コメツガ” の枝先には、新芽が黄緑色に輝き、足元には、可憐なピンク色の “コイワカガミ” がひっそりと咲いています。シーンと静まった林の中から、鳥のさえずりに交じってジージーという鳴き声が聞こえてきます。「これって、セミの声?」 と耳を澄ますと、やはりセミの声です。「豊橋でもまだ鳴いていないのに、こんなに高い山で聞こえるなんて!」 と、思いも寄らない夏の訪れに、みんなびっくりしていました。
 
  大きな岩や木の根が張りだした登山道をゆっくり登っていくと、“押手川” に到着。苔むした林床からしみ出した水が、小さな流れをつくっています。ここは、3年前に登った “編笠山(2523.7m)” への分岐点でもあります。少し休憩し、再び生い茂った林の中を登っていきます。大きな岩を 「ヨイショ!」 とよじ登るハードな登山、時おり見える富士山にほっと一息。「ヤッホー!」 と声をかけ合いながら、ひたすら登っていきます。
  9時30分、“青年小屋” に到着。すると突然、左手にどっしりと構えた円錐形の “編笠山” が現れました。編笠山は、山頂付近が樹林帯でその下にゴロゴロした岩石帯が広がっています。その山容を見るなり、3年前の光景が一気によみがえってきました。真っ青な空に映える編笠山を眺めながら、これから挑む難所に備えて多めの休憩をとりました。


     

    10時、「さぁ、ここからが本番よ!」 と気合を入れて、再び出発。“西ギボシ・東ギボシ” と岩場が続きます。針葉樹林の中を登っていくと、次第にハイマツ帯に変わり、30分ほどで “ノロシバ” に到着。ここはその名の通り、昔、武田信玄がのろしを上げた場所だとか。北岳・甲斐駒ヶ岳、遠くには雪をかぶった穂高岳や槍ヶ岳も見え、大展望に感動の声が上がりました。
  岩石がゴロゴロした急斜面を一歩一歩踏みしめながら登っていくと、目の前に鋭く尖った岩山がそびえています。それを目指して必死に登っていきます。何とか “西ギボシ” を無事に通過、次はさらに険しい “東ギボシ”。取り付けられた鎖を握り、バランスを崩さないように慎重に登っていきます。一歩足を踏み外したら真っ逆様に落ちてしまう岩場の岩壁、一瞬足りとも気が抜けません。
 
  11時30分、ようやく難所を抜け、後ろを振り返り 「すごい所を通ってきたわね〜」 と、みんなほっと胸をなで下ろしました。ここからの眺めも最高です。辿ってきた綾線の先には編笠山、目の前にはキレットを挟んで “赤岳” と “阿弥陀岳” がそびえています。行く手には権現小屋と “権現岳” の頂が見えます。「あそこが目的地ね」 と、みんなの顔に笑みが戻ってきました。時々吹く風の心地よさを感じながら、ハイマツが生い茂る綾線を進んでいきます。  


     

  権現小屋を右手に通過し、登り切ると11時55分、やっと “権現岳” の頂に到着。一斉に 「ヤッター!」 と歓声が上がりました。山頂は360度の大パノラマ、見事としか言いようのない景色に、みんな溜め息の連続。荒々しい八ヶ岳連峰は迫力満点、富士山もきれいに浮かんでいます。眼下には人里が広がり、高原野菜のビニールハウスが白く光っていました。足元には黄色い “ミヤマキンバイ” や、白い “ハクサンイチゲ” が咲いています。
  たっぷりとエネルギーを補給し、次の “三ツ頭” に向けて再び出発。ここから急な下り坂が始まります。足を滑らせないように注意しながら、ゆっくりと下っていきます。振り返ると権現岳がそびえていて 「あそこから来たのね〜」 と、みんな感無量。また登り返して、1時間ほどで “三ツ頭” に到着。ここもビューポイント、険しい岩山の赤岳・阿弥陀岳・権現岳の圧倒的な迫力に言葉も出ません。八ヶ岳の峰々をしっかりと目に焼き付けました。
 
     


     

  1時40分、“観音平” に向けて小泉口コースを下山します。このコースは歩きやすいのが利点ですが、超ロングコース、3時間以上はかかるということで、みんな覚悟して歩き出しました。針葉樹林に囲まれた登山道をひたすら下っていきます。黄色の “ヤツガタケキスミレ” やイチゴの花によく似た “チョウノスケソウ” を見つけるたびに、「かわいい!」 という声が聞こえてきます。
  1時間が過ぎ、2時間が過ぎると、だんだん足が痛くなってきました。笹原の中を黙々と下っていきますが、なかなか着きません。休憩のたびに、みんな口をそろえて 「やっぱり長いわね」 と呟きます。「もう少しよ、頑張って!」 の掛け声に力をもらって、また歩き出します。下りきると小さな川を渡り、今度は登り坂。「これを登れば観音平よ!」 の声に、最後の力を振り絞って必死に登りました。
   
  5時5分、やっと “観音平” に到着。歩行タイムは9時間半、総タイム11時間20分というハードなロングコースに、みんなヘトヘト、疲れが顔ににじみ出ていました。でも、1人の脱落者もなく無事に歩き通せたことへの安堵感と達成感でいっぱいでした。  


     

  今回はとても厳しい登山でしたが、日常では味わえないスリルと、自然が織りなす大絶景を思う存分味わうことができました。迫力満点の景色を目の当たりにすると、神の偉大さと、人間の小ささを改めて実感します。木々の息吹、花や草の生命力といった大自然のエネルギーをたっぷりと吸収した八ヶ岳登山、「また頑張っていこう!」 と力が湧いてきました。  
  日頃パソコンに向かっていることが多い私たちにとって、登山は心身ともにリフレッシュできる最高の健康法です。みんなで少しでも長く続けていけるよう、日ごろから鍛えておきたいと思っています。