NO.136
2018/07/05
 

   2030年には、日本は3人に1人が65歳以上になるという “超高齢社会” を迎えます。「年をとっても元気でいたい。寝たきりや要介護の生活にはなりたくない!」 というのが、多くの人の願いではないでしょうか。今、その願いを叶えるための新対策が世界中で発表され、注目を集めています。
  先月、NHKの健康番組“ガッテン!” で 「筋肉&血管を強くする!世界が証明した “究極の寝たきり予防法”」 と題して、最新の研究結果が紹介されました。私たちが提唱している “ホリスティック健康学” に通じる内容でしたので、今回はこの番組を簡単にご紹介したいと思います。
 


     
    番組では初めに、アメリカ・カリフォルニア大学で長生きの仕組みと要因を研究している “スティーブ・コール” 教授の研究結果が取り上げられました。
  研究は、健康に問題のない160名を3つのグループに分け、次のことを毎日欠かさず行ってもらうというものです。


 ● 1つ目のグループは、友人の荷物を持ってあげるなど「人に親切にする」
 ● 2つ目のグル―プは、道端のゴミを拾うなど「世の中に役立つことをする」
 ● 3つ目のグループは、好きなものを食べるなど「自分が嬉しいと感じることをする」
 
 

これを1カ月間継続し、詳しく血液検査をしたところ驚きの結果が生じました。あるグループにだけ、免疫系の遺伝子の働きに大きな変化が現れ、寝たきりを防ぐ最良の方法であることが判明しました。 
  皆さんは、どのグループだと思われますか?     正解は何と、1つ目の「人に親切にする」グループでした。このグループだけが、寝たきりにならないように遺伝子の働きがコントロールされていることが分かったのです。

 
  以前 “スタッフだより” で、糖尿病や動脈硬化などさまざまな病気の原因に “慢性炎症” が大きく関わり、健康長寿にはその炎症を抑えることが重要であると述べました。コール教授の研究によって、人に親切にすることでこの炎症物質を出させる遺伝子があまり働かなくなり、炎症を抑えることが実証されました。しかも、このグループの人にだけ著しく炎症が減少し、「世の中に役立つことをする」 グループの人には全く見られず、「自分が嬉しいと感じることをする」グループの人は炎症が増加していました。人に親切にしている人としていない人とでは、年間の死亡リスクが50%も違うそうです。
  この結果に対してコール教授は、それには人類の進化の歴史に答えがあるとし、「人間は他人に親切にすることで喜びを感じ、身体に良い反応をするようにプログラムされているのだと思う」 と述べていました。
 


     

  日本でも、東京大学高齢社会総合研究機構の “飯島勝矢” 教授によって、千葉県柏市に住む高齢者5万人を対象に、“運動” と “人とのつながり” による「寝たきりになる危険度調査」が行われました。その結果、「運動と人とのつながりの両方ともしていない人」 の危険度が最も高く、それを基準にすると、「運動だけをしている人」 の危険度は半分以下に、「人とのつながりだけをしている人」 の危険度は8分の1に、「両方している人」 の危険度は16分の1にまで減少することが判明。人とのつながりは、運動以上に重要であることが明らかになりました。飯島教授は「これほどまでに大きな違いが現れたことに驚いている」 と述べていました。私たちも、この激減にはビックリ!  
  番組では、そのいい例として1組のご夫婦を取り上げていました。ご主人は運動が大好きで1万歩のウォーキングが日課、奥さんは運動が苦手でピアノを弾いたり英語の詩を読むという文化系。2人の寝たきりになる危険度を調べたところ、ご主人の方が高いという結果が現れました。ご主人は、運動はしていても人とのつながりはほとんどなく、人との会話もあまりありませんでした。一方、奥さんは、運動はしていませんが友人たちとの茶話会やグループ活動に忙しくしていました。
  寝たきりの予防には、一人でしっかり運動するよりも、グループ活動に参加したり、グループでの運動の方がより効果的というわけです。
   
  さらに番組では、世界的にインパクトを与えたアメリカの研究結果が紹介されました。研究は世界中の148個の研究データ (対象者は約30万人) を再解析し、長生きにプラスに働く影響度について調査したものです。結果は、これまで長生きにプラスとなる要因とされてきた 「禁煙」 「酒を飲み過ぎない」 「運動」 「肥満予防」    これらよりも 「人とのつながり」 の方がより長生きにプラスの影響を及ぼしていることが分かりました。
「人とのつながり」 つまり心の状態が、いかに健康に大きな影響を与えているかがよく示されています。
 


     

    今年1月、イギリスで “孤独担当大臣” が誕生しました。孤独はお年寄りだけでなく全世代にわたる深刻な問題とし、イギリス政府は数百万ポンド (数億円) を投じる予定だと言います。そのきっかけとなったのが、ロンドン大学で加齢研究をしている “アンドリュー・ステップトー” 教授の研究です。
研究は50才以上の男女6500人を対象に、「人とのつながり」 を調べ7年間追跡。その結果、人とのつながりが少ない人ほど死亡率が高いことが判明しました。

  今イギリスでは 「孤独撲滅キャンペーン」 が展開され、人とのつながりの大切さを訴えるテレビCMが流れているそうです。
 


     

  番組の最後に、週に1回でも同居の家族以外の人とのつながりがあるだけで、身体の機能が衰えにくくなることを述べていました。
  皆さんは、どれだけ人とのつながりを持っていらっしゃるでしょうか。
 
 

私たちが提唱している “ホリスティック健康学” でも、健康には心の要素がきわめて重要であるとしています。「心の健全さ(利他的な心)」 は、健康をつくる4つの柱 「心・食・運動・休養」 の中で最も重要な要素です。心の健全さは、人と接する中で育まれるものです。人に親切にする ・人に奉仕するといった利他愛の喜びから得られるものなのです。 

 
  私たちもこうした最新の情報を知り、これからも人との触れ合いを求め、人の役に立つような歩みをしていきたいと改めて思いました。
 近年、日本でも高齢者の“孤独死”が問題視されています。国民的番組である “ガッテン!” で、人とつながること ・人に親切にすることの重要性が述べられたことは、間違いなく訪れる超高齢社会をどう乗り切っていったらいいのか、そのヒントになったように思います。