NO.135
2018/06/06
 

 

今年も、いよいよ登山シーズンがやってきました。ゴールデンウィークには、皆さんの中にも山登りに出かけた方がいらっしゃったのではないでしょうか。私たちも、「連休が明けたら、“霊仙山(りょうぜんざん1084m)” に登ろう!」 と計画を立て、その日がくるのを楽しみに待っていました。
 “霊仙山” は鈴鹿山脈の最北に位置し、山頂付近に広がるカルスト地形特有の奇岩が織りなす風景が有名です。“霊仙山” の名は、この山の麓で生まれた僧侶 “霊仙” に由来し、奈良時代、山頂には “霊仙寺” が建立されたと伝えられています。下見をしたスタッフが 「1000m級の山の中では一番の大展望で、感動すること間違いない!」 と太鼓判を押し、みんなの期待も大きく膨らんでいました。
  今回のコースは、“榑ヶ畑 (くれがはた) 登山口” から出発し、“経塚山(きょうづかやま1040m)” “霊仙山” “霊仙山最高点1094m)” を巡って、同じ道を下ります。
  晴天を確認し、5月11日、豊橋を出発。2か月ぶりの登山にみんなワクワク、高鳴る気持ちを抑えて登山口に向かいました。

 

     

    午前6時25分、“榑ヶ畑登山口” に到着。清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んで、木々に囲まれた登山道を元気に出発しました。まもなく廃村となった榑ヶ畑の集落跡が現れます。そこは繁みに覆われて薄暗く、中央に小川が流れ、一区画ごとに石垣が積まれていました。石垣は苔むしていて、「昔、ここに小さな家が建っていたんだね」 と、当時の村人たちを偲びながら通り過ぎました。
  登山道には道のりを示す合目の表示があり、20分ほどで2合目の “汗拭き峠” に到着。その名の通り、早くも汗が噴き出してきて、衣類を調節します。
風はほとんどなく、鮮やかな新緑に心までウキウキ、明るい雑木林の中をどんどん登っていきます。自然のエネルギーをたっぷり浴び、思わず 「さわやかで気持ちいい!」 と声を上げてしまうほど。つづら折りの急登も何のその、軽やかな足取りで登っていきます。
 


     

  7時25分、5合目の“見晴らし台”に到着。視界が開け 「あっ、琵琶湖だ!」 と、目を輝かせて指をさします。みんな、まだまだ余裕の表情です。ここからさらに急登が続くので、気を引き締めて再び歩きだしました。時折、静かな山に 「ヤッホー!」 と掛け声が飛び交います。森の中にカッコーの鳴き声が響き、心が癒されました。
  6合目を過ぎるとしだいに木々が少なくなり、辺りは “カレンフェルト” と呼ばれる石灰岩がごつごつと露出しています。岩につまずかないように注意しながら登っていきます。突然、「シカがいる!」 とスタッフの声、一斉に見上げると、遠くに3頭のシカを発見。目を凝らして見つめていると、そのうちの1頭が私たちの気配に気づいたのか、じっとこちらを見つめていました。シカに出会えた喜びに力が湧いてきて、さらに軽快に登っていくと、目の前に明るい高原台地が広がりました。みんな思わず、「わあ、きれい!」 と大歓声。これからたどる登山道と山頂がくっきりと見え、この先の行程を確認し合いました。
   
    8時、7合目の “お猿岩” に到着。ここは少し大きめの石灰岩がいくつも突き出していて、岩の上に腰を下ろしてホッと一息。眼下には大きな琵琶湖が広がっています。空は抜けるようなスカイブルー、飛行機が次から次へと真っ白い線を描いています。最高の登山日和に、みんなの顔がほころんでいました。  

     

 
  ゆるやかな登山道を進んでいくと、8合目、霊仙神社と書かれた木製の鳥居が建っている “お池(お虎ヶ池)” に到着。お池は想像以上に小さく、それを横目に最初の山 “経塚山” の山頂を目指します。登山道には所々 “ドリーネ” と呼ばれるすり鉢状のくぼ地があり、時々覗いてみたりします。白い石灰岩が至る所に隆起していて、「本当に墓石みたい!」 と、カレンフェルト(墓石地形)の奇景を楽しみながら登っていきます。    
    8時45分、“経塚山” 山頂に到着。“経塚山” は “霊仙寺” が没落した時に経典を埋めた場所とされています。山頂からの展望は本当に見事で、みんなうっとり。目の前には一面、緑色の草原が広がっていて、その中に白い石灰岩が点在し、まるでよく刈り込まれた庭園のようです。すると、「見て、あそこにシカの群れがいるわよ」 とスタッフが指さす方を見ると、遠くでシカたちがせっせと草を食べていました。
 実は、この絶景はシカも一役買っていて、シカがすっかり草を食べ尽くしたせいで、広々とした草原ができ上がりました。実際には100頭ものシカがいるらしく、米原市では駆除に頭を悩ませているとのこと。でも私たちは、シカのお蔭でこんなにも美しい景色に出会うことができ、ちょっとだけ感謝しています。
 
  絶景をしっかりと目に焼き付け、今度は “霊仙山” の頂を目指します。カレンフェルトが点在する登山道をゆっくりと登ると、足元に小さくて可憐な “ヒメフウロ” が咲いています。白い花びらに薄いピンク色がさしていて、みんな口々に「かわいい!」と呟きます。  
     
  9時25分、“霊仙山” 山頂に到着。ここでも360度の大パノラマに、ただただうっとり。1000m級の山なのにまるでアルプス並みの大展望です。澄み渡った青空、鮮やかな新緑と深い緑がまるで絵を描いているような山々、琵琶湖も一望できます。北側には以前登った “伊吹山”、遠くには真っ白い雪をかぶった “白山”、そして “乗鞍岳”や “御嶽山” も見えました。この時期は霞がかかり遠望がきかないことがほとんど、「今日は、本当にラッキー!」と、みんな大感激していました。
  次は “霊仙山最高点” を目指します。周りの山々の景色を眺めながら歩くこと10分、最高点に到着。南側にある鈴鹿山脈最高峰の “御池岳
(おいけだけ1247m)” を見て、「いつかこの山にも登ってみたい!」と、みんなの意気が上がりました。のんびりと景色を見渡していると、ヒバリのさえずりが聞こえ「ここは本当に素晴らしい山ね」と、心も体も癒されていくのを感じました。
 
     
   10時20分、もっともっと眺めていたい気持ちを抑えて、下山開始。奇岩が点在する美しい草原を巡っていると、所々にシカのフンが落ちていて、その量の多さにビックリ! 踏まないように気をつけながら “お猿岩” まで戻ります。大自然のエネルギーに満たされ、みんなまだまだ元気です。    
  休憩していると1羽のトンビが現れ、私たちの上空を悠然と舞っています。それを目で追っているともう1羽現れ、みんな大興奮。餌の小動物を探しているようで、2羽の舞がとっても美しく、じっと目で追っている者や、何とか写真に収めようと必死にカメラを向けている者もいました。
 
     帰りは、同じ道を滑らないように注意しながらひたすら下っていきます。時々休憩をはさみ、榑ヶ畑の集落跡が見えてくると、「あと少しよ、頑張って!」 と激励の声。
  12時50分、無事登山口に到着。総タイムは6時間25分、大自然の造形美を心ゆくまで堪能し、思い出に残る登山の一つとなりました。下見をしたスタッフから、素晴らしい山であることは聞いていましたが、予想以上の大絶景にみんな大満足、「いつかまた登ろうね」 と話しています。